日本語図書案内

日本語教育 図書・教材案内 34 号 2018.06
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日本語教育 図書・教材案内 34 号 2018.06
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香港・マカオの日本語教育を支える皆様

はじめまして。山下直子日本語教育アドバイザーの後任として5月16日に着任いたしました、斎藤誠(さいとう・まこと)と申します。これから、香港・マカオの日本語教育に微力ですがお力になれたら幸いです。香港はおろか、韓国以外の漢字圏に来たのが初めてです(すみません…)。香港に着いてまず驚いたのは、広告や商品で目にし、耳にする日本語の多さでした。これほど「日本」が生活に入り込んでいて、物理的だけでなく精神的にも日本とのアクセス手段が多様で、何度も日本に旅行に訪れている人のなんと多いことか。これまで日本とのつながりの希薄な国にいたことが多かった私にとっては、とても新鮮で、異国にいる感覚が薄くなります。この環境ならではの、そしてこの地域の日本語教育の未来像がどうあるべきか、皆様と意見を交わし、地域の日本語教育ネットワーク発展の一助になれば幸いです。このご案内は香港、マカオでご活躍の日本語教師の皆様を中心にお送りしております。これからどうぞよろしくお願い致します。

では、斎藤発1回目の「日本語教育 図書教材案内」第34号をお送りいたします。今回は、ここ1年ぐらいの間に、私が実際に使ってみた/目を通した教材からご紹介します。教材だけでなく、役立ちそうなリンクなどもご紹介していきます。なお、今回ご紹介した本は、当研究会所蔵です(発注予定を含む)。閲覧をご希望の方は、斎藤までご相談ください。


≪教材のご紹介≫
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1 アクティブラーニング対応 日本語を分析するレッスン

著者:野田尚史、野田晴美
発行:大修館書店 2017年4月
http://www.taishukan.co.jp/book/b285622.html

講義ではなく議論!
「しりとり」「若者ことば」「マンガ」「漫才」などのことばに関わる身近な話題ごとに章を設定し、学生同士の議論を通じて言語分析の基本的な方法が身につくようにした全く新しいタイプの「日本語学」テキスト。大学の初年次教育、一般教養科目、専門基礎科目に最適!(出版元紹介文より)
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著者の野田晴美先生は、2018年2月に、私が教えていたフランス・パリ日本文化会館の社会人講座でこのテキストの一部を使った学生向け「文法」授業(ワークショップ形式)を実施してくださいました。クラスが活性化し、レベル差のある学生同士が互いに教えあい学びあう、生き生きとした時間でした。文法だけでなく、授業デザインとしても大きなヒントとなる1冊だと思います。
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2 クローズアップ日本事情 日本語で学ぶ社会と文化

著者:佐々木瑞枝
発行:The JapanTimes 2017年3月
http://bookclub.japantimes.co.jp/jp/book/b309627.html

 ~上級学習者向けの日本を多角的に知るための日本事情教材~
過去と現在、都市と地方、日本と海外など、さまざまな角度から考察する文章を読み、その後、多様なタスクを通して、日本について、より深く、より広く、より楽しく理解することができます。
巻末には、ユニットで学んだ内容を確認するためのワークシート「内容確認問題」と、各ユニットの「語彙リスト」、読解文の英訳があります。(出版元紹介文より)
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本書の特徴は、単なる文化理解、知識獲得型にとどまらず、データや多様な考え方を基に、学習者による考察、発信、クラスでの議論を主眼に置いている点です。発表やディベートなどのアクティビティ、プロジェクト、また異文化コミュニケーションの題材などに活用できる教材だと思います。また、現在Amazonの当該ページでは「なか見」できます。
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3 おひさま [はじめのいっぽ] 子どものための日本語

著者:山本絵美・上野淳子・米良好恵
発行:くろしお出版 2018年4月
http://www.9640.jp/ohisama/

4歳から始める日本語の教科書。かわいいイラスト、飽きないような工夫、考え抜かれた構成で、子どもが「できた!」「おもしろい!」と目を輝かせて上達していくのが目に浮かびます。「うちの子供に、小さいうちから日本語の基礎をきちんと学ばせたいんだけど、本は何がいいのか…」というニーズに応える1冊だと思います。
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4 まるごと 日本のことばと文化 中級2 B1
著者:国際交流基金
発行:三修社 2017年10月
http://www.marugoto.org/

JF日本語教育スタンダード準拠教材「まるごと 中級1」に続く2冊目。JFS(JF日本語教育スタンダード) B1レベルの養成を目指しています。私は前任地のフランス・パリ日本文化会館のJF日本語講座(社会人対象)で「まるごと」を使用していました。豊富な写真、多彩なトピックで、学習者の文化的・知的興味を惹きます。オーセンティックな場面の会話、リアリティのあるテキストのインプットから、発話、会話、文章作成などのアウトプットへ自然につなげる構成。学習者は「言いたいことを伝えられた」達成感を味わえるのではないでしょうか。また、上記ページには、語彙表や教師向け教え方マニュアル、文法表など、学習者、教師用サポートリソースも取り揃えてありますので、(残念ながら広東語版はありませんが)ご活用ください。
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≪お役立ちサイト・リソース集≫

JF日本語eラーニング「みなと」
http://minato-jf.jp/
eラーニングで「まるごと」を学習できるオンラインコースが、国際交流基金開発の「みなと」にあるのをご存知でしょうか。独学者のみならず、学生さんの補習、反転授業などの様々なブレンディッド・ラーニング型授業の一部としてもご活用できます。「みなと」には、他にも「ひらがな」「かたかな」「俳句」「アニメ・マンガ」「ビブリオバトル」など、多彩なコースが用意されており、学習者の自律学習を促すのに適しているのではないでしょうか。

「日本語教育通信」
http://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/teach/tsushin/
国際交流基金発行。授業のアイデアや教材情報「本ばこ」、研究やレポートなど、多彩なコンテンツが掲載されています。

☆2つのサイトがリニューアル!
「みんなの教材サイト」
http://minnanokyozai.jp/kyozai/top/ja/render.do
「みんなのCan-doサイト」
http://jfstandard.jp/cando/top/ja/render.do
国際交流基金が開発しているコンテンツのうち、上記2サイトがリニューアルされました。「教材サイト」は日々の授業に役立つ素材がいろいろあります。今までなかったB2レベルの教材も、開発されだしています。「Can-doサイト」は、コースデザインや学習の目標設定、振り返り作業のアイデアの参考になると思います。

「向学新聞」
http://ifsa.jp/index.php?kougaku-shimbun201806sai
国際留学生協会(http://www.ifsa.jp/)が発行する、日本に滞在する留学生向けの学習・生活・就職情報誌。最新の2018年6月号は、以下から閲覧できます。

日本語教育コンテンツ共有システム「NEWS」
http://www.nihongo-ews.jp/
主に日本での生活者を対象にした日本語教育(地域日本語教育)についてのコンテンツが多いですが、参考になるものもあるかと思います。私は「やさしい日本語」に注目しています!これに基づいて作成された公共団体のチラシなどは、レアリアの教材としても使えるものですし、「やさしい日本語」をワークショップとして日本の学校教育でも扱ってくれれば、日本語教育のトレーニングがなくても、日本人全体が外国人への接し方を変えてくれるのではと、ひそかに夢見ています。

Web Japan
http://web-japan.org/
外務省が発信する日本文化コンテンツ。ビデオ、雑誌「にぽにか」web版、キッズ向けコンテンツなど、授業で使えそうなリソースがそろっています。

☆コンテンツ、リソースを活用した実践など、共有したい!という方、投稿しませんか?お待ちしています!


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この図書案内のPDF 版は、以下のリンクからご覧いただけます。
http://www.japanese-edu.org.hk/PDF/Advisor/34_201806.pdf

バックナンバーは香港日本語教育研究会のウェブサイトでご覧いただけます。
http://www.japanese-edu.org.hk/ 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

国際交流基金派遣 日本語教育専門家(日本語教育アドバイザー)
香港日本語教育研究会
斎藤誠