日本語図書案内
日本語教育 図書・教材案内 27 号 2015.12 |
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 日本語教育 図書・教材案内 27 号 2015.12 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 街はにぎやかな時期になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。 第27号の「日本語教育 図書教材案内」をお送りいたします。 ≪図書のご紹介≫ 「協働」「クリティカル」というキーワードが気になりました。 1.『協働で学ぶ クリティカル・リーディング』 著者:舘岡洋子編 出版社:ひつじ書房 2015年7月 書籍情報: http://www.hituzi.co.jp/ 今までの読解教材は、単語リスト、文型説明、文型練習、背景資料、内容理解質問という「日本語で書かれたものを読む」目的になっているといえる。しかし、本書では教室を「日本語学習コミュニティ」ととらえ、メンバーがテキストをめぐってやりとりし、テキスト理解、クラスメイトへの理解、自分自身の考えを深め、自分を振り返ることができることを目指している。 本書の構成 <ユニット1> 私と外国語学習 - なぜ外国語を学ぶのか、私と対象外国語(日本語)との関係を考える <ユニット2> 私と国-留学体験や身近な経験から、私と国との関係を考える <ユニット3> 私と異文化-異文化とは何か、異文化を体験するとはどういうことか、自分の経験と重ねながら考える <ユニット4> 私と学校-なぜ学ぶのか、なぜ学校へ行くのか、自分の経験と重ねながら考える <ユニット5> 私と他者-私という存在について、他者とのかかわりの中で考える 教師にとって⇒各ユニットには「予習シート」「提出シート①理解」「提出シート②表現」「提出シート③まとめ」と一案が示されています。このシートについて筆者も学習者にあわせた工夫が必要なため、一参考例と述べられていますが、授業で使用する教材としても参考になると思います。 学習者にとって⇒予習のために活用できるインターネット上の辞書も紹介されていますので、自己学習の際役立つ情報です。 私自身が授業で「協働」を何度も試み失敗しています・・・。しかし、協働を通じて他者理解、自己理解が深まることもあるという点は同意します。 2.『自分で学んでいける生徒を育てる―学習者オートノミーへの挑戦』 著者:中田賀之 編 出版社:ひつじ書房 2015年3月 書籍情報: http://www.hituzi.co.jp/ 学習者オートノミー(learner autonomy)、学習者の自律学習ということばとともによく使われています。 学習者オートノミーを育てる、促すためには教師の役割が重要だといわれています。 本書は理論と実践がバランスよくまとめられ、学習者のオートノミーについて知ることができるようになっています。日本の中学校・高校の英語教師の取り組みですが、日本語教育に参考になると思います。 本書の構成 第1部 学習者オートノミー(学習者オートノミーとは何か) 第2部 授業(中学校における「教室内英語と学習者オートノミー」、ディベートを通じて学習者オートノミーを育てる、ICTを使って学習者オートノミーを促す授業、リフレクションを促すポートフォリオ活動) 第3部 学習(学習者オートノミーを育てる活動、他律指導から学習者オートノミーを促進させる実践、自己調整学習と1000時間学習マラソン、Can-Doリストを利用した学習指導改善-学習者オートノミーの育成をめざして、プロジェクト学習とその過程) 第4部 教師(オートノマス・ラーナーの育成-教科間研究、教師の変容から生徒の変容へ、 学習者オートノミー促進を意識した中・高一貫シラバス作成の取り組み) 第5部 座談会(英語教育と学習者オートノミーの今後) 詳細は国際交流基金「日本語教育通信」の「本ばこ」より以下のWebsiteをご覧ください。 https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/teach/tsushin/bookshelf/201511.html ------------------------------------------------------------ このニューズレター・メルマガはBccでお送りしております。配信をご希望でない方は、返信の形でご連絡ください。お知り合いの先生で、興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、どうぞご紹介ください。 みなさまからのご意見・ご要望もお待ちしております。 バックナンバーは香港日本語教育研究会のWebsiteでご覧いただけます。 http://www.japanese-edu.org.hk/ 最後まで読んでいただきありがとうございます。 よいお年をお迎えください。 国際交流基金 海外派遣日本語教育専門家(香港日本語教育アドバイザー) 山下直子 |