日本語図書案内

日本語教育 図書・教材案内 19号 2013.12
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

日本語教育 図書・教材案内 19号 2013.12

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


あちこちのショッピングモールでクリスマスの飾り付けが華々しい時期になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

日本語教育図書・教材案内19号をお届けいたします。

なお、みなさまにはメールのあて先をBccとしてお送りしております。今後配信をご希望でない方は、ご連絡ください。

☆図書☆
1. 『生きた素材で学ぶ 新 中級から上級への日本語』


著者:鎌田 修、ボイクマン 総子、冨山 佳子、山本 真知子 
出版社:The Japan Times ISBN 978-4-7890-1462-5
発行日:2012年6月5日
書籍情報はこのサイトで:http://bookclub.japantimes.co.jp/

11月2日、3日両日、香港中文大学で2013年OPI国際シンポジウムが開催されました。プリンストン大学の牧野成一氏の基調講演をはじめ、日本語教育におけるプロフィシェンシーをテーマにしたいろいろな発表は、今後の香港における日本語教育の方向性を考える上でも、たいへん興味深いものでした。

その後、プロフィシェンシーに関する参考文献を何冊か見てみたのですが、中でも、教材としておもしろいのではないかと思ったのがこの本です。これは「生きた素材で学ぶ 中級から上級への日本語」の改訂版で、改訂に当たり、「各ユニットの生教材を新たに選定し、学習者が高い関心を持てるテーマと内容を備えた新しい『生きた素材』に全面刷新しました。」(本書より)とのことです。ユニットは10あり、「若者の自己評価」「ジェンダーを考える」「心と体のバランス」「環境のためにできること」「食の共同性」「笑いのちから」など、どれも読み物としておもしろい内容で、「生きた素材」と名づけた理由が納得できました。

レベル的にはは中級の学習者を上級へと引き上げることを目的としています。この本では、中級を「日常的でパターン化した言語活動を文レベルの発話で表現あるいは理解できる」レベル、上級を「非日常的な場面においても複雑なコミュニケーションが行え、談話レベルの言語活動を表現あるいは理解できるレベル」と定義づけており、本書は、その橋渡しのための教材ということになります。

それぞれのユニットは、「読む前に」「読んでみよう」「読んだあとで」の3つの部分から構成されており、読解教材を核として、会話や討論、要約、意見調査など、いろいろな言語活動が組み込まれています。また、宿題にもできる「重要表現」「文法・語彙練習」もあります。さらに、別売りのワークブックもあります。

本書をご覧になりたい方は、香港日本語教育研究会に閲覧用の教材として置いてありますので、ご覧ください。

また、プロフィシェンシーに関する研究などに興味のある方には、日本語プロフィシェンシー研究会より、次のような論集が出ています。

『日本語プロフィシェンシー研究』 創刊号
編者:日本語プロフィシェンシー研究会
出版社:凡人社 ISBN 9784893588548
発行日:2013年4月
書籍情報:http://www.bonjinsha.com/product/?item_id=5703
日本語プロフィシェンシー研究会に関する情報は以下のサイトにあります。
http://proficiency.jp/



2. 『まるごと 日本のことばと文化 入門A1りかい』


『まるごと 日本のことばと文化 入門A1かつどう』


著者:国際交流基金
出版社:三修社 ISBN 978-4-384-05753-9 
発行日:2013年10月1日
(以下は教科書からの引用です。)

「『まるごと 日本のことばと文化』は、JF日本語教育スタンダードに準拠し、日本語を使ってコミュニケーションをすることと、異文化を理解し尊重することを重視してデザインしました。また、学習者が日本にいなくても、ことばや文化を学ぶこと自体を楽しめるように、内容と方法を工夫しました。

『まるごと』は日本語を使ってコミュニケーションができるようになるために、「かつどう」と「りかい」び2つの学習方法を提案します。

「かつどう」:日本語をすぐに使ってみたい人に
・ 日常場面でのコミュニケーションの実践力をつけることが目標です。
・ 日本語をたくさん聞き、話す練習をします。

「りかい」:日本語について知りたい人に
・ コミュニケーションのために必要な日本語のしくみについて学ぶことが目標です。
・ コミュニケーションの中で日本語がどう使われるか、体系的に学びます。

「かつどう」と「りかい」はどちらも主教材です。どちらを選ぶかは、学習目的によって決めてください。また、「かつどう」と「りかい」は同じトピックで書かれています。両方で学べば、総合的に日本語力をつけることができます。

『まるごと』は、ことばと文化をあわせて学ぶことを提案しています。会話の場面や内容、写真、イラストなど様々なところに異文化理解のヒントがあります。日本の文化について知り、自分自身の文化をふりかえって、考えを深めてください。」

授業時間の目安:

『まるごと 日本のことばと文化 入門A1りかい』 1課あたり約120分×全20回 
『まるごと 日本のことばと文化 入門A1かつどう』 1課あたり90-120分×全20回

「まるごと」について:http://jfstandard.jp/language/ja/render.do
このほか、以下のサイトには、入門期の学習者に役立ちそうな練習教材がいろいろ入っています。ぜひご覧ください。

『まるごと』関連リソース: http://marugotonihongo.jp/
音声データ、書くタスクのシート、ごいインデックス、ひょうげんインデックス、ごいちょう、Can-doチェック

学習者支援サイト:「まるごと+(プラス)」 http://www.marugotoweb.jp/
「まるごと」の閲覧ご希望の方は、宇田川までご連絡ください。

☆ウェブサイト☆
「みんなの日本語」Webサイト 『特別連載 日本語教科書活用講座』
http://www.3anet.co.jp/nihongo_text_kouza/
連載14回になる、日本語教科書の使い方講座です。最近の「マンガで学ぶ日本語の教え方 初級」などは、最近日本語を教え始めた方、日本語教育に関心のある方に、参考にしていただければと思います。http://www.3anet.co.jp/ja-relation/katsuyokoza14/2404/#





今回の「日本語教育 図書・教材案内」の編集に当たり、日本語教育研究会のマギー梁先生、香港中文大学の何志明先生、向日葵出版社の阮亦光先生に、書籍やサイトの情報、コメントなどでご協力いただきました。先生方、ありがとうございました。


みなさまからの教材や教科書、図書のご推薦、お待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。

朝晩、寒くなってまいりました。どうぞお体にお気をつけて。


国際交流基金 海外派遣日本語教育専門家(香港日本語教育アドバイザー)
宇田川洋子