日本語図書案内

日本語教育 図書・教材案内 17号 2013.4
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日本語教育 図書・教材案内 17号 2013.4
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みなさま

ご無沙汰いたしました。

平成25年度最初の図書案内です。
☆図書☆
1.香港日本語教育研究会主催「香港日本語教育セミナー」の教材
今回のセミナーの講師は、横浜国立大学の河野俊之先生と、筑波大学の松崎寛先生のお二人。2日間共通のテーマは『日本語の発音における教授法および教材デザイン』でした。まずはセミナーでの使用教材をご紹介したいと思います。
『1日10分の発音練習』
著者:河野俊之・松崎寛・串田真知子・築地伸美
出版社:くろしお出版、2004年
 「日本語らしい自然な発音のためには、高さや長さがとても大切。この教科書では、高さを表す曲線を音節ごとに区切って、わかりやすく示したプロソディーグラフを使うことにより、日本語の音が直観的に理解できるようになっています。」(くろしお出版サイトより)
台湾版もあります。
http://www.dahhsin.com.tw/proinfo.php?id=703
松崎先生のHPで一部試用できます。松崎先生によれば「解説がついてるので、特に『数量詞のアクセント』など参考になるかなと思います。」とのことでした。音声ファイルもありますので、まずはご覧ください。
http://www.u.tsukuba.ac.jp/~matsuzaki.hiroshi.fp/pg.html

このほか、最近の出版物についてお聞きしたところ、以下のものを挙げてくださいました。
『日本語教育の過去・現在・未来 第4巻 音声』水谷修監修,河野俊之・小河原義朗編集、凡人社、2009年 
『第二言語習得研究と言語教育』畑佐一味・畑佐由紀子・百濟正和・清水崇文編 、くろしお出版、2012年  第4部 音声と習得 総論 柴田智子・松崎寛
http://www.9640.jp/xoops/modules/bmc/detail.php?book_id=48830&prev=new

2.国際交流基金のウェブページ内「日本語教育通信」の「本ばこ」より
『日本語教師のためのTIPS 77 ② ICTの活用』
編著者:山田智久
出版社:くろしお出版、2012年
書籍情報:http://www.9640.jp/xoops/modules/bmc/detail.php?book_id=41898
 「ICT」「パワーポイント」「オンラインストレージ」・・・。皆さんはこれらの言葉を聞いて何のことか分かりますか。
 日本語教育の現場で使っている教材や教具は、時代の変化にともなってどんどん変わってきました。以前なら、教師は黒板やホワイトボードに書きながら授業をしていましたが、最近では、プロジェクターでパワーポイントのスライドを示しながら授業をすることも珍しくないでしょう。ICTとは、「Information and Communication Technology」の略で、日本語では「情報通信技術」と訳されています。具体的には、デジタル機器(コンピューターやデジタルカメラなど)、ウェブ上の情報(ウェブサイトやブログ)、コンピューターソフト(ワードやパワーポイントなど)を合わせて、このように呼んでいます。情報通信機器が発達した時代の教師には、言葉や教授法についての知識だけでなく、これらを使いこなす力も求められるようになってきています。
 本書には、日本語教師が知っておくとよいICTの活用方法が書かれています。(執筆者押尾和美、日本語国際センター専任講師)
このほか、具体的な例が以下の国際交流基金のサイトにあります。
http://www.jpf.go.jp/j/japanese/survey/tsushin/bookshelf/201211.html

3.ヒューマンライブラリーについて
『多文化社会の偏見、差別』
編著者:加賀美常美代、横田雅弘、坪井健、工藤和宏(企画:異文化教育学会)
出版社:明石書店、2012年
書籍情報: http://www.akashi.co.jp/book/b101402.html
 先日、香港大学SPACEで研修を受ける学生を引率していらっしゃった獨協大学外国語学部の工藤和宏先生にお会いする機会があり、「ヒューマンライブラリー」のお話をうかがいました。 
 ヒューマンライブラリーとは,障がい者・同性愛者・アルビノ・薬物依存からの回復者・難民など、誤解や偏見を受けやすい人々を,「生きている本」として貸し出す取り組みで、「本」と「読み手」が対話を通し,自らの固定観念に気付き多様性に対して開かれた社会や地域づくりを目指すことを目的とした活動だそうです。
 これは多文化共生社会への活動の一つなのですが、このアイデアを日本語教育や異文化理解活動に取り入れることもできると思い、ご紹介することにしました。例えば、日本語の教室に、日本人を招いてお話をしていただくというような企画はよく見られることですが、講演者の話を多くの学生が聞くというパターンが多いと思います。それを「話し手」と「聞き手」が、1対1は無理でも、小さなグループを作って話し合う活動にすると、講演とはかなり質の異なるコミュニケーションや学びができるような気がします。
 工藤先生からのメールには以下のように書かれていました。
ヒューマンライブラリーの日本語教育への応用は十分可能です。実際、昨年10月には、日本語教育学会の依頼により下記の研修を行いました。
http://www.nkg.or.jp/kenshu/kensyu-2012/2012hl.pdf
また運営を学生が行うことによる「社会人基礎力」等の涵養にも役立ちます。
香港でも今後定期的に行われるかもしれません。
http://stu.hksyu.edu/~ourvoice/mobile/?p=1474
http://humanlibraryhk.blogspot.jp/
「このような活動を実施したことがある」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ様子をお知らせください。

国際交流基金 海外派遣日本語教育専門家(香港日本語教育アドバイザー) 
宇田川洋子