日本語図書案内

日本語教育 図書・教材案内 16号 2012.12
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日本語教育 図書・教材案内 16号 2012.12
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みなさま

 あっという間に2012年も終わろうとしておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
 さて、今回は、11月に開催された第9回日本語教育・日本研究シンポジウムの基調講演や発表からの情報を中心にご紹介したいと思います。
 なお、みなさまのメールアドレスはBccに入れて送らせていただきました。配信を希望されない方、メールアドレスの変更を希望される方は、ご連絡ください。

☆図書☆
シンポジウムの基調講演者の一人である早稲田大学の細川英雄先生が書かれた新刊2冊をご紹介します。
『「ことばの市民になる」―言語文化教育学の思想と実践』 著者:細川英雄、出版社:ココ出版、発行:2012年10月
 「ことばの市民」とは何か?日本語教育における「学習者主体」の提案者が、ことばと文化の統合をめざした実践研究を経て、第三の道程にいたる言語文化教育学の思想。言語教育の未来を照らす一条の光。(出版社のちらしより)
 この10年を振り返る著作でありながら,この本には,言語研究者として出発した私が,国語教育・日本語教育との出会いから言語文化教育学をめざすようになるまでの30年がすべて投入されています。先月出版された『研究活動デザイン―出会いと対話は何を変えるか』と併せて,この30年の思想的変遷を提示することになりました。(細川研究室ウェブページより)
『研究活動デザイン――出会いと対話は何を変えるか』
著者:細川英雄、出版社:ココ出版、発行:2012年9月
 研究は,ひとりで,研究室に閉じこもって進められるものではない。自分の興味・関心から「研究テーマ」を明確化するプロセスにおいても,自分との対話も研究仲間との議論も大切だ。これまで『研究計画書デザイン』『論文作成デザイン』で研究デザインのあり方を提示してきた著者が,自らの体験や教室での経験をもとに,研究活動の意味とそのあり方を紹介する。さらに大学院設置の準備や,学会の研究大会のプランニング,研究雑誌の編集などの組織づくりまで広がった研究活動を紹介。(出版社より)
このほか、同シリーズには『研究計画デザイン』『論文作成デザイン』があります。

(国際交流基金ウェブサイト「日本語教育通信」『本箱』より)
http://www.jpf.go.jp/j/japanese/survey/tsushin/bookshelf/201210.html
『にほんご会話上手!聞き上手・話し上手になるコミュニケーションのコツ15』 編著者:岩田夏穂、初鹿野阿れ、出版社:アスク、発行2012年7月
 正しい日本語を使って上手に話しているのに、どうもコミュニケーションがうまく行かない、ということはありませんか。本書は初級レベルを終了した学習者を対象とした会話の教科書で、教室でも独習でも学ぶことができます。
 会話分析の研究を活かして、①さまざまな日常会話場面において母語だったらどう会話をするか、②良い聞き手としてどうふるまえばよいか、③相手の状況を考えて、どう会話の流れをコントロールするか、という観点から、役に立つ練習をするようになっています。
<特徴>
①学習者のふり返りで始まる導入部
 各ユニットは学習者にとってよくある困った会話場面からスタートして、解決のためのコツと表現を示します。学習者が自分自身の会話をふり返ることで授業が始まるので、あとに続く活動への動機を高めることができるでしょう。
②CDを活用した練習
 ユニット目標のために必要なポイントの説明の後、聞き取り練習を行い、CDのポーズに合わせた会話練習へと続きます。会話をいくつも聞きながらやりとりを学ぶので、実生活で同じ場面に出会ったときのためのイメージ作りに役に立つでしょう。
③若者同士のくだけた話しことば
 本書では、主に大学生や若い社会人同士のくだけた会話が取り上げられており、若者らしい表現がたくさん出てきます。初級教科書にはない友だち同士の会話は、特に若い学習者にとって、きっと興味関心の持てるところだと思います。
書籍情報: http://www.ask-shop.net/shopdetail/042005000011/


☆ウェブサイト☆ 

シンポジウムの発表で紹介されたサイトから、香港で日本語を教える先生がたに役立ちそうなものをシンポジウム委員の先生がたに挙げていただきました。実際に使ってみたかたのご感想をお待ちしております。
『OJAD-オンラインアクセント辞書』
(前回のご案内でもご紹介したサイトです。発表に出席して、改めていろいろ利用できるのではないかとに思われましたので、ご紹介いたします。)
ウェブサイト: http://www.gavo.t.u-tokyo.ac.jp/ojad/
 シンポジウムでは、開発と実践的活用についての発表がありました。
•発表の予稿
http://www.japanese-edu.org.hk/sympo/upload/manuscript/20121015080146.pdf
(以下、ホームページより)
 OJADは日本語教師・学習者のためのオンライン日本語アクセント辞書です。約3,500の用言(動詞,い形容詞,な形容詞)について, 12の活用パターン約42,300の東京方言アクセントを調べることができます。それ以外の約300種類の後続語表現に関しても,アクセントを調べることができます。前者については全活用パターンの音声サンプル(男女1名ずつ)を聞くことができます。更に任意の文に対して,特定の語に強いフォーカスを置かずに読み上げることを想定した場合に,予想されるピッチパターンを表示することもできます。学習者の自主学習,日本語教室や日本語教師養成講座での韻律学習にお使い下さい。日本語母語話者の東京方言参照用にもお使いいただけます。(ホームページより)
『日本語表現法開発プロジェクト-日本語学習システム』
ウェブサイト: http://www.pawel.jp
 シンポジウムでは、母語話者向けに開発された校正・推敲ツールを非母語話者向けに拡張する取り組みについての発表がありました。
•発表の予稿
http://www.japanese-edu.org.hk/sympo/upload/manuscript/20121015054022.pdf
(以下、サイト内「このプロジェクトについて」より)
 このプロジェクトは、2008年度文部科学省大学教育改革支援事業:質の高い大学教育推進プログラム「学士力としての論理的文章作成能力育成」の取組として生まれました。
 本取組は自然言語処理技術を駆使して、学生の自学習・演習環境を構築することによって、文章作成能力の育成を目指します。この実現のために、文章を自動的に理解・評価することのできるシステムを構築し、教育分野へと展開を図っていきます。その結果、多くの学生が、優れた教育コンテンツの利用と多様な演習を行うことが可能となるはずです。さらに、汎用技術としてこの教育システムを公開することによって、本学のみならず多くの大学で、所期の目的を達成することに貢献しようというものです。
 追加情報:システムをPCにダウンロードして使います。

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今回のご紹介は以上です。
2012年3月に香港に着任してから9ヶ月が経ちました。みなさまには本当にいろいろお世話になり、心から感謝いたしております。
どうぞ2013年が、みなさま一人ひとりにとって平和で幸せな年になりますように。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。 (宇田川洋子)
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