日本語図書案内

日本語図書案内 13号 2011.11.28
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日本語図書案内 13号 2011.11.28
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みなさま、
お元気ですか。
突然のお知らせになってしまい恐縮ですが、木山は健康上の理由により12月13日に帰任することになりました。これからも国際交流基金の日本語国際センター専任講師として海外の日本語教育支援の仕事に携わりますので、皆さんとのご縁を大切にしていきたいと思っています。
香港在任中のみなさんのお励ましと友情に心から感謝して、「☆☆日本語図書案内☆☆」13号をお届けします。ありがとうございました。

1. HKDSEの話題
2. 新刊案内
3. 香港の学習者に関する調査

1. HKDSE (Hong Kong Diploma of Secondary Education) の日本語の試験について
2011年10月末に香港で初めて新後期中等教育(NSS)選択科目となった日本の試験が実施されました。この試験に採用されたCIE(Cambridge International Examination) の情報は、CIEのHPからも収集できますが、試験直前の段階でまだ試験内容を正確に把握されていない先生方が多かったと感じました。

Speaking と Essayについては香港日本語教育研究会HPに日本語版の説明を掲載しましたのでそれをよくお読みください。Reading & Writingについても日本語版を作成中です。できあがり次第、掲載していただけるようにしますので、もうしばらくお待ちください。

以下、3つのポイントについて強調したいと思います。
(1)Speaking のPresentationでは、日本に関連するトピックを選んでください。伝統文化についてでも、現代社会に関連することでもOKです。日本との関連のないトピックで話すと、内容点が半分になってしまいます。
(2)Speaking のTopic Conversationと General Conversationのときに、会話の中で試験官に「自然に質問をする」ということが大切です。試験官の質問(「北海道に行ったことがありますか。」「日本のアニメについてどう思いますか」など)に答えたあと、「先生は行ったことがありますか」「先生はどう思いますか」などと質問できると、「情報を求める力(質問をする力)」が減点されません。これは、日ごろの練習に取り入れることにより比較的簡単にできるようになることですから、是非練習のときに意識して取り入れてください。
(3)Speaking testのときは「です/ます体」で統一して話せるようにしましょう。接続表現の「だって、」のようなことばはふさわしくありません。アニメやドラマの好きな人たちは気をつけてください。

2. 新刊案内
(1)『日本語教師のためのTIPS 77第1巻 クラスルーム運営』横溝紳一郎著(くろしお出版)1365円
 クラスルーム運営について、すぐに応用できるコツ、小技、豆知識を解説した本です。学習者のやる気を引き出す方法と自分の授業を見直すポイントがわかります。

(2)『日本語、国語の話題ネタ』森山卓郎編著(ひつじ書房)
 先生が授業中に話してくれるちょとしたお話が日本語学習を楽しくすることがあります。それがクラスに出席する意欲にもつながります。
 この本では「授業で使える小ネタ」を文字、語彙、文法、方言などさまざまなトピックに分けて紹介しています。

3.学習者調査
日本語教育研究会日本語教育アドバイザー在職中に、香港の日本語学習者に関する調査を2つ実施しました。
(1) 木山登茂子、中野貴子、周宏陽、上田早苗、望月貴子、蘇凱達、青山玲二郎「2010年香港日本語学習者背景調査」(2011年5月) 『日本学刊』14号
(2) 木山登茂子、野村和之、望月貴子「香港の年少者日本語学習に関する一考察-保護者の意識を中心に-」(2012年3月)『国際交流基金日本語教育紀要』8号

(1)は、香港日本語教育研究会で実施した調査の報告です。HPを利用したウェブアンケート調査で、幅広い年齢層の学習者のみなさんの「日本についての体験」「日本についての情報入手方法」「日本に関する興味」「日本語学習目的」について調査した、いわば量的調査です
(2)は、3歳から18歳までの年少学習者の保護者に対して行ったインタビュー調査から得られた知見をまとめたものです。年少学習者に多大な影響を与える保護者の、子どもに日本語を学ばせる動機、日本への関心、日本についての経験、子どもの学習に費やせる費用、自身の学習経験、日本語能力試験やHKDSE日本語試験に関する希望、などを質問しました。
どちらもそれぞれPDF版が、香港日本語教育研究会、国際交流基金のHPからダウンロードできますので、機会がありましたらご覧ください。

 最後に、(1)(2)の執筆を通して、すばらしい共同研究者のみなさんと出会えたことを記しておきます。この出会いがなかったら、これらの調査は実現できなかったと思います。ありがとうござました。
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 「☆☆日本語図書案内☆☆」は、この13号をもって最終号とします。
(^o^)長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。

みなさんからいただいたメールアドレスは、後任の日本語教育アドバイザーに引継ぎたいと思っていますが、もし、それを希望されない場合は木山のアドレスまでご一報ください。よろしくお願いいたします。

「☆☆日本語図書案内☆☆」のバックナンバーは、香港日本語教育研究会のホームページから見ることができます。
(木山)