日本語図書案内
日本語図書案内 6号 2010.1011 |
+++++++++++++++++++++++++++++++++++ 日本語図書案内 6号 2010.1011 +++++++++++++++++++++++++++++++++++ 香港も厳しい暑さが去り、過ごしやすくなってきましたね。 10月1日に外のプールで泳いでみましたが、今年はあれが最後かな、と思っています。 秋の夜長を読書三昧で過ごすのもよし、回文やなぎなた読みの創作にふけるのもよし、それぞれの秋を楽しんでくださいね。 1.お礼 『2010年香港日本語学習者背景調査』 9月30日、調査は無事に終了しました。 みなさんのご協力により、1107名の学習者から回答を得ることができました。 ポスター掲示にご協力くださった学校のみなさま、口コミで広めてくださったみなさま、学生さんたちをプッシュしてくださった先生方、本当にありがとうございました。 分析はこれからですが、回答してくださった学習者のみなさんの概略は添付資料のとおりです。速報としてお知らせいたします。 回答者の中で能力試験上位級受験者の率が、香港の実際の能力試験上位級受験者率より高いのは、大学で学習している方の回答率が高いことに関係があると思っています。こちらから送った学生さん宛ての協力依頼メールを多くの大学の先生方が転送してくださいました。 ご協力いただきまして、ありがとうございました。 m(__)m 2.新刊案内 香港城市大学 村上仁先生のご著書 『日本語会話-日本語‧広東語‧北京語』 Trilingual Phrase Guide Series CD付 若い学習者のみなさんがこんなこと言いたいな、話したいなと思っても、日本語の初級向けのコースブック(主教材)にはなかなか出てこないような語彙やフレーズというものがあります。 それは、多くの初級向けコースブックが文型を積み上げて学習する方法に主眼を置いているためです。でも、『日本語会話-日本語‧広東語‧北京語』にはコースブックにはなかなか出てこなくて、中上級になるまで待たないとできないような場面の会話があります。 たとえば、8章「声をかける 社交」にある友達同士の会話や、仲良くなりたい人への会話の切り出しや応答などです。この本は、時には授業でも文型を二の次にして、とにかく学習者のみなさんが、今、日本語で言いたいことを取り上げるということがあってもいいのではないか、ということをわたしに気づかせてくれました。 また、日本語、広東語、普通話(北京語)の3か国語併記になっているので、学習者のみなさんには日本語の勉強に、日本人には広東語と同時に普通話の勉強になるという副産物(?)もあります。 詳しい情報はこちら↓ http://cityupress.edu.hk/Common/Reader/Products/ShowProduct.jsp?Pid=18&Version=0&Cid=57&Charset=iso-8859-1&page=0&idx=2 この本の会話をみていて、わたしが思い出したのは談話・会話分析の専門家、泉子K.メイナード(ラトガース大学)の著書 『恋するふたりの「感情ことば」―ドラマ表現の分析と日本語論』(くろしお出版、2001年刊)です。 テレビドラマの恋人達は、愛情をどんなことばで表現しているのか、90年代の日本のドラマの会話をわかりやすく分析しています。 そういえば、あのころのドラマには「わたしもだれかからこんなふうに言われてみたい」と思うような胸がキュンとするような台詞がありましたよね(現実を直視することも大切ですが)。『日本語会話-日本語‧広東語‧北京語』の会話をマスターしたあとは、ドラマからすてきな台詞を集めるのもいいのではないでしょうか。 村上先生のご本は、基本的には日常生活や観光に役に立つ会話集です。 3.授業準備や学習に使えるウェブサイト ① マンガで読むニュース マンガの新聞 最新ニュースをマンガで読むことができます。マンガが理解を助けてくれるかもしれません。 http://newsmanga.com/ ② しろくま君のホームページ 「笑えることば遊びの事典」 いろいろなことば遊びがのっている個人のページです。 http://www.sutv.zaq.ne.jp/shirokuma/ -「アクロスティック」(あいうえお作文)は、作文の活動に使えます。 -「なぎなた読みの部屋」は、音読の活動に使えます。楽しみながら、句読点を打つ場所の大切さを学習者のみなさんに知ってもらえます。 日本語は、句読点の打ち方ひとつで、意味が違ってしまいます。なぎなた読みというのはここに着目して、文章の句読点の場所を変えて、違う意味にする遊びのことです。昔、「弁慶が、なぎなたを持って、刺し殺したとさ」を「弁慶がナ、ぎなたを持ってサ、し殺したとサ」と読んだ人がいたことからなぎなた読みと言われています。 たとえば、 今いち、縁が無いんです。 → 今、一円が無いんです。など。 -「回文の部屋」もおもしろいです。回文とは、前から読んでも後ろから読んでも同音の文章のことで、「しんぶんし」のようなものです。わたしが以前にオーストラリアの先生から教えてもらったのは「スマートなトーマス」でした。「回文の部屋」にはもっとこったものがたくさんあります。長期休暇の宿題にしてもいいと思います。 アクロスティック、回文、なぎなた読みのおもしろい作品がでてきたら是非教えてくださいね。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++ (^o^)今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。みなさんからの感想やリクエストをお待ちしています。 「☆☆日本語図書案内☆☆」のバックナンバーは、香港日本語教育研究会のホームページから見ることができます。 |